里山のいろ
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「山岳信仰と人々の暮らし息づく、一目五山の風景」

 当国立公園の魅力は、第一に、里や高原から火山・非火山の個性的な形の山々を一望できることです。
まず火山としては、8kmごとのほぼ等間隔にポコポコと並ぶ飯縄山・黒姫山・妙高山、噴煙をあげる焼山があります。 そして非火山としては、ギザギザとして急峻な戸隠連峰やなだらかな形の火打山、双耳峰の雨飾山などがあります。このように、個性的な形であるため山の名称を認識しやすい山が、コンパクトな国立公園の中にギュッと凝縮して存在しているため、五つもの山を一目で認識することができる「一目五山」の風景が公園内の至る所にあり、少し移動するだけで趣の異なる山容を楽しむことができます。また、多くの高原や、湖・池・湿原なども公園内に存在しており、里では農の営みも盛んです。そのため、「一目五山」の山並みと、森や水辺、日本らしい田園風景がセットになった風景を公園内の里や高原の至るところで目にすることができ、妙高戸隠連山国立公園らしい風景となっています。さらに、当地域は極めてはっきりとした四季を有していることから、これらの風景を、春夏秋冬それぞれの鮮やかな色で楽しむことができます。
 
 第二に、当国立公園内の個性的な山容を持つ山々の多くが、山岳信仰の対象や地域の象徴として、地域の人々に大切にされてきたことです。ここから生じる歴史的な町並みや神社仏閣、祭りや生活習慣は、現在まで受け継がれています。また、冬の豪雪など美しくも厳しい自然と向き合ってきた当地では、工夫を凝らした暮らしぶりや、竹細工など自然資源を活用した伝統工芸の発展等、「自然と共存する知恵を持った文化」が今も息づいています。しかも、コンパクトな国立公園であるにも関わらず、こういった文化や方言なども地域によって少しずつ異なっており、文化もギュッと詰まっていると言えます。そして、厳しい自然と向き合い続けてきた当地に暮らす人々は、温かな人情を持ち合わせています。このように、大地の営みとそれに寄り添う人々の暮らし・信仰が紡ぐ風景も、本国立公園の大きな魅力です。
 
 その他、多種多様な動植物の生息地となっていることも魅力の1つです。例えば、当地域の大部分が「重要野鳥生息地」に選定されており、野鳥の宝庫となっています。特に、火打山周辺に生息するライチョウは国内北限の個体群(頸城山系個体群)であり、極めて重要です。また、高山のお花畑、山地帯のブナの原生林、山麓の湿原や雑木林など、多様な植生が存在しています。そして、トガクシソウ(トガクシショウマ)やミョウコウトリカブトのように当地域の名前がついている植物もあり、地域の自然資源の象徴となっています。 さらに、フォッサマグナ帯に位置し世界ジオパークに認定されている「糸魚川ユネスコ世界ジオパーク」を含むことや、約7万年の歴史を持ちナウマンゾウ発掘で有名な野尻湖があることなど、大地の歴史ロマンや勢いを体全体で感じるといった、地形地質的な魅力もあります。